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杉はどれも同じじゃない。吉野杉に学ぶ、木材の選び方と使い方

吉野杉を使用したオーパススタイルの施工事例

杉は同じ木でも、品質や使い方によって違いがある

今回のテーマは「杉」。杉だけでひとくくりにできない理由と、吉野杉の特徴から考える木材の選び方・使い方についてお伝えします。

杉には「ささくれそう」「節が多くて野暮ったい」「安い木材」といった印象を持つ方もいます。しかし、同じ杉でも育て方や木の質はさまざまで、使う場所や施工の工夫によって仕上がりも変わります。

オーパススタイルでは、杉という名前だけで木材を判断するのではなく、その特徴を理解し、住まいの中でどう使うかまで考えることを大切にしています。

杉は身近な木だからこそ、ひとくくりにされやすい

杉の品質は一様ではなく、育った環境や年数、木材の状態が違えば、それぞれに特徴があることを示すイメージ画像

杉は、古くから日本の暮らしに使われてきた木です。住宅の床や天井、建具、家具、生活道具など、身近なものから高級な建築材まで、幅広い用途で使われてきました。
それだけ身近な木だからこそ、木材としての質や使い方の違いは、意外と知られていません。

例えば、昔使っていた杉の床がささくれた経験から、「杉の床はささくれるもの」と思っている方もいます。また、節が多い木目や、赤みと白みの色の違いが気になるというお声も。

しかし、杉の品質は一様ではありません。育った環境や年数、木材の状態が違えば、それぞれに特徴があります。一度見たり使ったりした杉の印象だけで、すべてを判断してしまうのは、少しもったいない。
オーパススタイルでも、以前はパイン材を多く使っていました。杉について理解を深める中で、木の質や選び方、使い方によって素晴らしい魅力があることを実感してきました。

吉野杉は何が違う?500年以上の歴史と独自の育て方

吉野杉が生育している森

同じ杉でも違いがあることを知るうえで、分かりやすい例が奈良県の「吉野杉」です。
吉野地方には500年以上にわたる林業の歴史があります。戦国時代、豊臣秀長が大和を治めた頃には、吉野でもすでに植林が始まっていました。その後も吉野の木は、城郭や寺社の建築などに使われてきました。

吉野杉の大きな特徴は、木を育てる方法にあります。
一般的な人工林よりも多くの苗木を密集させて植え、成長に合わせて何度も間伐を行いながら、長い時間をかけて育てていきます。この方法は「密植・多間伐・長伐期」と呼ばれています。

一般的な人工林では40〜50年ほどで収穫されることもありますが、吉野杉は80〜100年以上かけて育てることが特徴です。
こうして丁寧に育てられた吉野杉には、年輪の幅が狭く均一で、節が少ないという特徴があります。
年輪とは、木の断面に見える輪のこと。この幅が細かく均一にそろっていることは、吉野杉が評価される理由の一つです。もちろん、吉野杉ならすべて同じ品質というわけではありません。

ここで知っていただきたいのは、杉という名前は同じでも、育て方や木の質によって違いがあるということです。
産地や樹齢だけで判断するのではなく、どのように育ち、どんな特徴を持つ木材なのかまで知ることが、木材選びでは大切になります。

杉の床・壁・天井は、節や色の違いをどう使い分ける?

杉を選ぶ際は、品質だけでなく、住まいのどこに使うかも考える必要があり、床・天井・壁で節の多さや、色味の選び方が変わる図解

木材を選ぶ際は、品質だけでなく、住まいのどこに使うかも考える必要があります。

オーパススタイルでは、杉を使う場所によって、節の量や木目、色の選び方を変えています。
例えば、床材であれば多少の節があってもよいと考えています。子ども部屋の床など、日々の暮らしの中で傷がつく場所なら、少し節がある木材も十分に選択肢になります。
もちろん、節が苦手な方には、節のない「無節」の木材を選ぶ方法もあります。

一方で、壁や天井に杉を使う場合は、なるべく節の少ないものをおすすめしています。
床とは違って視線に入りやすい場所なので、節が多すぎると木目が強く目立ち、空間が少し重たく見えることがあります。無節の杉を使えば、木をふんだんに取り入れても、すっきりとした印象に仕上げやすくなります。

もう一つ大切なのが、杉の色です。
杉には赤みのある部分と、白っぽい部分があります。この色の違い自体が悪いわけではありませんが、赤と白のコントラストが強い板を床にも壁にも天井にも使うと、色の変化が目立ちすぎることがあります。

そこでオーパススタイルでは、なるべく赤みの多い木材を選ぶよう、木材店にお願いしています。
ただし、赤と白が混ざった木材が悪いということではありません。長く使ううちに色がなじんでくることもありますし、好みによって選び方は変わります。
一本一本の木だけを見るのではなく、床・壁・天井を含めた空間全体で、どのように見えるか。 そこまで考えて木材を選んでいます。

大工職人が木材を選んで配置する「木配り」も重要

杉の良さを引き出すには、木材の品質や設計だけでなく、現場での使い方も重要です。

木材は自然のものなので、同じ種類の板でも節の位置や木目、色合いは一枚ずつ違います。木材店に「なるべく節の少ないものを」とお願いしても、届いた板がすべて希望どおりとは限りません。

そこで大切になるのが、大工職人の仕事です。
例えば、壁の中でも特にきれいに見せたい場所には、節の少ない板を使う。少し節が多い板は、別の場所に使う。届いた木材を見ながら、どの板をどこに配置すればよいかを考えていきます。これが「木配り」です。

同じ材料でも、ただ順番に張るのと、節や木目を見ながら使う場所を決めるのとでは、仕上がりが変わります。オーパススタイルでは、こうした職人の技術も、杉の魅力を引き出すために欠かせないものだと考えています。

杉は水回りにも使える?素材の特徴を理解して選ぶ

杉を使う場所についても、先入観だけで判断しないことが大切です。

「無垢材は水に弱いから、トイレや洗面所には使えない」と思っている方もいるかもしれません。
しかし、無垢材だからといって、水回りへの使用を一律に避ける必要はありません。杉も、使う場所や水への対処を考えれば、水回りに取り入れることができます。
例えば、床が濡れたときに拭き取れるようにすることや、水分を長時間放置しないことなど、日々の使い方も大切です。

オーパススタイルでは、リビングからトイレまで同じ木の床をつなげることもあります。床材が途中で切り替わらないことで、空間に一体感が生まれ、すっきりとした仕上がりになります。
素材の名前だけで使える・使えないを決めるのではなく、場所や暮らし方に合わせて判断しています。

杉の床は、実際に見て触れて違いを確かめる

木材を選ぶときは、見た目や数値だけでなく、実際に触れたときの感覚も参考になります。

オーパススタイルの事務所では、床に吉野杉を使っています。毎日足で触れる場所だからこそ、その感触や木材の違いを身近に感じることができます。
特に冬は、杉の床に触れたときの暖かさを感じやすい季節です。「床暖房が入っているみたい」と表現されることもあります。床そのものが発熱しているわけではありません。足が触れたときに感じる暖かさの話です。

木の色や節、木目は写真でも確認できますが、足触りまではなかなか伝わりません。
杉に対してあまり良い印象を持っていない方にこそ、実物を見て、触れてから判断していただきたいと思います。

杉が良くてナラやオークが悪いという話ではありません。それぞれの木材に特徴があり、好みも違います。
先入観だけで選択肢を狭めず、素材の違いを知ってから選ぶことで、自分たちの暮らしに合った木材を見つけやすくなります。

杉の特徴と木材の選び方・使い方|まとめ

・杉の品質の違い:同じ杉でも育て方や木の状態によって特徴が異なる
・吉野杉の特徴:長い時間と手間をかけて育てられ、年輪が細かく均一で、節が少ない
・木材の選び方:床・壁・天井など、使う場所に合わせて節や色合いを考える
・木材の使い方:職人が一枚ずつ板を見て配置を工夫することで、素材の魅力を引き出す

杉はどれも同じではありません。吉野杉のように育て方に特徴がある木材もあれば、節や色、木目にもさまざまな違いがあります。さらに、どこにどう使うかによっても、住まいの印象は変わります。

杉を育ててきた人の仕事に、木を選ぶ目と設計、そして職人の技術を重ねる。日本の杉が持つ品格を、日々の住まいの中で引き出していくこと。
オーパススタイルでは、杉をただ使うのではなく、素敵に使うことを大切にしています。

今回の内容はVoicyでもお届けしています。杉への考え方や木材の選び方、使い方について、音声でもぜひお聴きください。

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