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セルロースファイバーは、新聞紙から作られるエコな断熱材です。
自然素材でありながら、他の一般的な断熱材(グラスウールなど)と比較しても、優れた断熱性能を発揮します。
また自然素材だから、私たちの身体にもやさしい です。
さらに、セルロースファイバーは製造過程でのエネルギー消費が少なくCO2の排出も抑えられ、地球環境にも配慮されています。
セルロースファイバーはアメリカで最もメジャーな断熱材として認知されていますが、日本ではまだその普及率は低く、知名度も十分ではありません。
その理由は、施工が難しいなどいろいろありますが、日本とアメリカの住宅に対する考え方の違いから来ている部分もあります。
日本では、30年で家を建て直す「スクラップ&ビルド」という考え方が一般的です。
反対に、アメリカでは住宅を長持ちさせて次世代に引き継ぐという考え方があり、そのため耐久性や性能の持続性を重要視する傾向があります。
私たちオーパススタイルも50年、60年…100年とずっと快適に暮らせる家づくりをしたいという思いから、断熱材はセルロースファイバーを採用しています。
特徴 | 内容 |
呼吸(調湿)する | 空気の流れをコントロールして、家の中の湿度を適切に保つ特性のことです。 湿度が高すぎるとカビの原因になり、低すぎると乾燥します。 セルロースファイバーは、これをうまく調整してくれます。 |
防音する | 家の中や外からの騒音は、生活する上で大きなストレスになり、また対策がとても難しいです。 セルロースファイバーはその点もしっかりカバー。 周りの音を吸収して、静かな空間を作ってくれます。 |
防火する | セルロースファイバーは燃え広がらない、有害なガスが発生させない特徴があります。 そのため万が一の火事で逃げ遅れるリスクを減らします。 |
防虫する | 家を長持ちさせるために大切な要素です。 特に防虫性能は、虫が家の木材を食べ、家が劣化するのを防ぐ重要な役割を果たします。 |
撥水性がある | 水をはじく力のことです。家の中が湿気で充満するのを防ぎます。 |
蓄熱する | 熱を蓄える力のことです。家の中の温度を一定に保つ助けになります。 |
耐候性がある | 自然環境によって変化しない・耐える性質のことを指します。 セルロースファイバーはこの耐候性が高く、長く安心して使えます。 |
セルロースファイバーの熱伝導率(※)は0.04と、一般的に高いとされるフェノルフォームの0.02と比べて半分程度となります。
(※熱伝導率とは1m2あたり1時間にどれくらいの熱量が伝わるかを示したものです。数値が低ければ低いほど熱が伝わりにくく、性能が高いと言えます。)
しかし、この数字だけで判断するのはまだ早いです。
実際に、セルロースファイバーを体感した方々は、暖かさや涼しさは想像以上と語ってくれます。
この数値と体感の差は何によって生まれるのでしょうか。
その秘密は、セルロースファイバーの「厚み」と「密度」にあります。
断熱性能は熱伝導率だけでなく、断熱材の厚みと密度にも大きく影響されます。
特にセルロースファイバーの場合、密度が他の断熱材に比べて高く、「ぎゅうぎゅう」に詰まっています。
これにより、断熱性能が一層高まり、それが温度差として体感できるのです。
このように、すべてを数値で表すことは難しく、セルロースファイバーの真価は「体感」によって理解できると言えるでしょう。
冬に感じる室内の暖かさ、夏に感じる涼しさは、自然素材の高性能断熱材セルロースファイバーならではの魅力です。
セルロースファイバーの素材は新聞紙(木質系)なので調湿性能に優れており、湿度を吸収し放出することができます。
これにより、住宅内の湿度を良好な状態に保つことが可能となり、日々快適に暮らせるだけではなく、家を長持ちさせることにも繋がります。
セルロースファイバーの調湿性能のもう一つの特性として、結露が起きにくいことです。
特に日本の住宅では結露が問題となる場合が多いですが、セルロースファイバーを使用すると結露が起きにくくなります。
これは、日本の風土に断熱材セルロースファイバーが合っていると言えるでしょう。
ただし、セルロースファイバーが除湿器や加湿器の代わりになるわけではありません。
調湿機能は補助的な役割とご理解ください。
セルロースファイバーの防音性能を理解いただくために、まず原料の新聞紙についてご説明します。
日本の新聞紙製造技術は世界的に見ても非常に高いレベルにあるのをご存知でしょうか?
特に薄さと強度は素晴らしく、高速で印刷する際に破れにくいという特性があります。
この日本の新聞紙が、セルロースファイバーの防音性能にどのように関係しているのかをご説明しましょう。
セルロースファイバーの防音性能が高い理由は、断熱性能と同様「厚み」と「密度」にあります。
音は、物体が振動すると空気を動かし、その動きが耳に音として届きます。
そのため、音を抑えるには振動を抑えなくていけません。
セルロースファイバーは高密度で厚みがあるため、音は通過しにくくなり、優れた防音性能を発揮します。
さらに、セルロースファイバーの防音性能が高いもう一つの理由は、吸音効果があることです。
セルロースファイバーは、木質素材の薄い新聞紙を「ふわふわ」にして隙間なく充填するため、これが音を伝える振動を吸収する効果を高めています。
下記の画像はセルロースファイバーの防音実験の様子です。
実験の様子はYouTubeよりご覧いただけます。
セルロースファイバーは製造メーカーにより質が異なるため、そのふわふわ感にも違いがありますが、質の高いセルロースファイバーは、よりその振動吸収性が強まると言われています。
残念ながら多くの方は家づくりを行う際に、防音性能について軽視されます。
これは音に対するストレスや騒音問題についてあまり考慮されていないためです。
生活に関する音・騒音は、大きなストレスを引き起こし、また自分たちでは解決が難しい問題です。
■騒音問題の一例
・交通量の多い道路沿いの家
・線路が近い家
・学校などの大きな施設が近い家
・小さなお子様やペットがいるため、近隣に気を遣う
オーパススタイルでは、セルロースファイバーのおかげで音が気にならず、ストレスを感じずに快適に過ごせているというお声をたくさんいただいています。
特に、ホームシアターが趣味やピアノなど楽器を使う、リモートワークのため集中して仕事をしたい、夜はぐっすりお休みになりたいという方は、セルロースファイバーを使いたいとご指名をいただくほど知る人ぞ知る防音性能の高い断熱材です。
音の問題は人ごとではありません。
家づくりの際にセルロースファイバー断熱材を使用するだけで音を軽減してくれるというのは、本当に大きなメリットになります。
セルロースファイバーは、新聞紙から作られる断熱材でありながら、高い防火性能を持っています。
実際に火をつけると確かに燃えるのですが、火のついたところから炭になり、それ以上燃え広がりません。
これは一種の炭化現象で、この現象が火災時に燃え広がりを防ぐことができます。
またセルロースファイバーは自然素材のため、燃えた際も有害なガスは発生しません。
断熱材の種類によっては、人体に影響が出るガスが発生したり、断熱材が溶けてしまうものもあります。
万が一の火事でも燃え方により、逃げる時間を稼ぐことのできる、それが断熱材セルロースファイバーです。
セルロースファイバーが燃え広がらない理由は、製造過程で混ぜられる「ホウ酸」によるものです。
オーパススタイルが採用するセルロースファイバーは22%のホウ酸を含んでおり、その数値は一部の企業が目指すJIS規格を超えています。
セルロースファイバーの品質はいろいろあり、ホウ酸の含有量によってその品質が左右されます。
このホウ酸は難燃性という特性があり、火がついても表面が炭化しそれ以上燃え広がりません。
これが、セルロースファイバーの防火性能の理由です。
ホウ酸は一見、薬のイメージがあるかもしれませんが、昔から目薬の成分や洗浄液にも使われている、人間にとっては非常に安全な成分です。
他にもセルロースファイバーは防火性能だけでなく、防虫性能や撥水性も備えています。
■防虫性能
ホウ酸は、家の大敵とも言われるゴキブリやシロアリをはじめとする虫にも効果があります。
理由は、これらの虫はホウ酸を摂取すると、その水分を奪われて脱水症状で死滅するからです。
そのため、ホウ酸が混ぜられたセルロースファイバーは、防虫効果も併せ持つ素晴らしい断熱材と言えます。
■撥水効果
セルロースファイバーには撥水剤が含まれており、水に濡れることなく浮く特性があります。
これは断熱材として使用された際に、万が一壁内に水が侵入しても影響を受けにくいです。
また、実際に壁の中に湿気がこもることを防ぎます。
その結果、カビの発生を防ぎ、ダニやマダニなどの虫が寄生しない環境を作り出します。
セルロースファイバーは、耐候性に優れているという特徴があります。
耐候性とは、様々な気候に耐える能力のことを指します。
例えばフェノールフォーム断熱材(※)のように断熱性能が高い材料も、時間が経つとその性能が変わる傾向があります。
(※フェノールフォーム断熱材は、フェノール樹脂に発泡剤を加えて微細な気泡を作り出し密閉することで、高い断熱性能を発揮する断熱材)
他の多くの断熱材も同様です。
それに対して、セルロースファイバーは経年による変化を極力抑制します。
この「経年変化が少ない」特性が、セルロースファイバーの魅力の一つとなっています。
オーパススタイルでは、家を建てる際に、何十年もその家で快適に生活していただくことを前提に家づくりを行なっているため、耐候性がとても重要だと考えています。
セルロースファイバーの取り扱いには一手間、二手間もかかるため、施工には専門的な機械や技術が必要となります。
セルロースファイバーが施工中に落ちないようにするための施工方法や、壁のひび割れを防ぐためのクッション性など、プラスアルファの施工を行うことが重要です。
セルロースファイバーは「厚み」と「密度」が重要です。
壁いっぱいに「ぎゅうぎゅう」(=1軒に目安1t)に詰めるため、量が多く必要となり材料費用が他の断熱材より高くなります。
また、専用の吹き込み機械と施工を行う職人が必要となるため、一般的には価格が高いと言われています。
自社で施工技術を持っている会社も少なく、外注に頼る場合が多いです。
その結果、値段が上がる傾向にあります。
セルロースファイバーの原材料である新聞紙の量が減っているため、将来的には供給源が不足する可能性があります。
現在は、余った新聞紙を加工して製造を行っていますが、新聞の発行部数や新聞を取っている人が減っている現状を見ると、20年、30年後には新聞紙が供給できるかどうかが不安視されます。