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セルロースファイバーの防虫は、ホウ酸で壁の中を守る【防虫編】|Voicy #361

断熱材セルロースファイバーの施工風景|注文住宅 愛知県 オーパススタイル

断熱材セルロースファイバーの防虫は、どこまで効くのか

今回のVoicyは、セルロースファイバーシリーズの「防虫」です。

先に結論から。防虫効果があるのは壁の中、人の手が届かない場所です。 室内に出るゴキブリや蚊が減る、という話ではありません。

 

セルロースファイバーの防虫を担っているのは「ホウ酸」

ホウ酸のイメージ画像

「虫が苦手なので、セルロースファイバーなら安心ですよね」。こう聞かれることが、けっこうあります。 たしかに、虫が寄りつきにくくなる成分は入っています。セルロースファイバーの製造工程で加えられているホウ酸です。 ホウ酸は、化学的に合成された薬剤ではなく、鉱物から採れるもともと自然界にある物質。分解されにくいので、時間が経っても壁の中に残り続けます。

ひとつ忘れられがちなのが、セルロースファイバーの本業は断熱材だということ。防虫はいわば副業です。それが、そこそこ本気で働いてくれます。

 

ホウ酸は、虫にどうはたらくのか

たとえばゴキブリでは、口から入ったホウ酸が消化管にはたらきかけると報告されています。ただし、効き方はとてもゆっくり。虫が口にしたり、体に付いたものを舐め取ったり。その積み重ねで、少しずつ効いていく。ホウ酸はそういう成分です。

 

ホウ酸は、人にとって安全なのか

人の場合、ホウ酸は主に腎臓から体の外へ排出されます。それでも「まったく無害です」とまでは言いません。大量に摂取すれば、健康への影響はあります。

だから、私たちも施工のときはマスクをして、粉じんを吸い込まないように気をつけています。ただ、住みはじめてからのホウ酸の居場所は壁の中。

暮らしのなかで直接触れる場所ではないので、施工時の扱いとは分けて考えていただいて大丈夫です。

 

セルロースファイバーの防虫は、殺虫剤とは役割が違う

セルロースファイバーの防虫は、殺虫剤とは役割が違う。セルロースファイバーの防虫とは、壁の中を虫にとって居心地の悪い場所にしておくこと|注文住宅 愛知県 オーパススタイル

殺虫スプレーも、においで虫を遠ざける忌避剤も、人が虫を見つけた場所で使うものです。目に見えている虫に、その場で対処するための道具です。

セルロースファイバーに含まれるホウ酸は、そういう働き方をしません。虫を追い出すわけでも、退治しに向かうわけでもない。セルロースファイバーの防虫とは、壁の中を虫にとって居心地の悪い場所にしておくことです。

 

25年経った壁の中を、実際に開けて確かめています

ホウ酸の特徴として、常温でほとんど揮発しない。空気中に出ていかないぶん、セルロースファイバーの中に留まり続ける。|注文住宅 愛知県 オーパススタイル

ホウ酸の特徴として、常温でほとんど揮発しません。空気中に出ていかないぶん、セルロースファイバーの中に留まり続けます。壁の中が乾いた状態に保たれている限り、その働きは長く続きます。 とはいえ、実際に効果はどうなのか。確かめる機会がありました。

25年前に私たちが建てた家を建て替えることになり、解体の前に第三者の検査員と一緒に壁の中を開けました。結果は、雨漏りもカビもなし。当時施工したセルロースファイバーも変わらず機能していて、虫のすみかになっている様子もありません。

しかもこの家、いま標準で採用している腐らない木「緑の柱」を使ったハウスガードシステムより前の建物です。当時の素材と施工だけで、この状態を保っていることになります。

調査の詳しい内容は、こちらにまとめています。

 

効くのは壁の中。室内のゴキブリなどが減るわけではありません

見えている虫は、人が対処する。手の出せない壁の中は、セルロースファイバーに任せる|注文住宅 愛知県 オーパススタイル

そもそも壁の中は、虫から見るとかなりの好物件です。配線や配管が走っていて、暗くて、外のような温度変化もない。一度入り込めたら、そこはもう楽園です。

しかも私たちは、手を出せません。見えないし、開けられない。壁の中で虫が増えていても、気づけないまま暮らすことになります。セルロースファイバーの防虫が効いてくるのは、まさにここ。

逆に、室内は別の話です。虫は玄関からも窓からも排水溝からも入ってきますから、ゴキブリや蚊が明確に減るとは言えません。

なので、見えている虫は、人が対処する。手の出せない壁の中は、セルロースファイバーに任せる。 こう考えていただくとわかりやすいですね。

 

「セルロースファイバーなら防虫効果は同じ」とは限らない

セルロースファイバーの中身は製品によってさまざまで明らかにホウ酸の含有量が少ないものある 中身によって、セルロースファイバーの働きぶりもずいぶん変わる また、セルロースファイバーの施工。壁の中に空洞が残れば、そこが虫の巣になります。すき間なく充填できてはじめて、防虫効果を発揮する|注文住宅 愛知県 オーパススタイル

セルロースファイバーと名前がついていても、中身は製品によってさまざまです。
ホウ酸は高価な素材なので、配合の考え方にも差が出ますし、明らかにホウ酸の含有量が少ないものも見かけます。規定をクリアしていないセルロースファイバーも、世の中には数多くあります。

それでも「セルロースファイバー」と聞いただけで安心してしまう方が多いのが実情です。どんな成分が使われているのか、どう作られているのか。そこまで聞いて選んでいただきたいところ。中身によって、セルロースファイバーの働きぶりもずいぶん変わってきます。

もうひとつ大事なのが施工。壁の中に空洞が残れば、そこが虫の巣になります。すき間なく充填できてはじめて、防虫効果を発揮します。

 

まとめ

・セルロースファイバーの防虫は、製造時に加えられるホウ酸によるもの
・ホウ酸は鉱物由来の天然成分で、分解されにくく、常温ではほとんど揮発しない
・ゴキブリでは、口から入ったホウ酸が消化管にはたらきかける
・効くのは手の出せない壁の中。室内の虫は、人の手で対処する
・ホウ酸の含有量が少ないセルロースファイバーには注意
・正しく施工されないと、セルロースファイバーの効果は最大限発揮されない

派手さのある話ではありません。ただ、人の手が届かない場所を任せられるというのは、心強いものです。壁の中は、建てたあとに直せない場所でもありますから。断熱材を選ぶときは、断熱性能だけでなく、その材料が壁の中で何をしてくれるのかまで見ておくと、選び方が少し変わってくるはずです。

Author Profile

渡邉 尚哉
渡邉 尚哉
オーパススタイル株式会社

2006年入社から家づくり一筋。資産活用の視点と注文住宅営業で300件以上の経験を活かし、不安や迷いに寄り添う“家づくりのパートナー”。性能や素材を総合的に考え、「どんな暮らしをしたいか」を一緒に描き、最適な提案を行う。VoicyやYouTubeでも発信中。

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