
心地よい家とは、「ここにいたい」と思える居場所がある家
オーパススタイルでは、心地よい家を、暑さや寒さなどの不快が少なく、そのうえで「ここにいたいな」と自然に思える居場所がある家だと考えています。
家づくりを始める時には、「家族が心地よく暮らせる家にしたい」「居心地のいい家にしたい」とよく聞きます。
ところが打ち合わせが始まると、LDKは何畳にするか、収納はどれくらい必要か、キッチンはどうするか、家事動線はどうするか。もちろん、どれも大事です。
でも、そこで一度考えてみてほしいです。最初に話していた「心地よさ」は、どこへいったのか。
洗濯機にも置く場所があります。ルンバにも、ちゃんと帰る基地があります。だったら、そこで暮らす人にも「ここに座ると落ち着く」「気づいたら長くいる」という居場所があっていいはずです。
オーパススタイルでは、部屋や設備を配置するだけではなく、そこでどう過ごすかまで含めて家づくりを考えています。
AIの時代だからこそ、五感で感じる暮らしを大切にする
これからAIや住宅設備が進めば、暮らしはもっと便利になっていくと思います。不便なことが減り、家の中もより快適に整えられるようになる。それは、とてもありがたいことです。
ただ、便利で快適であることと、心地よさは少し違います。
朝の光が、昨日とは少し違う。素足で杉の床を歩いた時のやわらかさを感じる。雨音を聞きながら、温かいコーヒーを飲む。
見る、聞く、嗅ぐ、触れる、味わう。
AIは、コーヒーがどれだけおいしいかを上手に説明できます。でも、その香りや温かさ、苦味を感じて「ああ、おいしいな」と思うのは、自分自身です。
何もかもを均一に整えるのではなく、季節や天気、時間によって変わる光や音を感じる。便利になる時代だからこそ、そんな時間も暮らしの中に残しておきたいと考えています。
性能で不快を0に近づけ、その上に心地よさを足す

もちろん、心地よさを大切にするからといって、性能より感覚を優先するわけではありません。
断熱、気密、換気、調湿、耐震、耐久性。こうした性能は、安心して暮らすための土台です。
オーパススタイルでは、まず性能によって、暑い、寒い、蒸し暑い、うるさいといった不快を0に近づける。その上に、光、居場所、人との距離、素材、音、陰影などを+していく。
これが「0+(ゼロプラス)」という考え方です。
性能か心地よさか、ではありません。まず暮らしのマイナスを減らし、その先に「この時間がもう少し続いてほしい」と思える場所をつくる。その両方を大切にしています。
「どんな家?」より、「そこで何をしたい?」まで考える

家づくりでは、「明るい家がいい」「開放的な家がいい」「落ち着く家がいい」といったご要望をよくいただきます。もちろん、それで間違いではありません。ただ、そこで終わらず、もう一歩先まで考えてみます。
たとえば、「明るい家がいい」ではなく、「冬の朝、日の当たる窓辺でコーヒーを飲みたい」。
ここまで具体的になると、ただ大きな窓をつくればいいわけではなくなります。
どこから光が入るのか。どこに座るのか。そこから何が見えるのか。家族とはどのくらいの距離になるのか。
こうして「そこで何をしたいか」を考えると、その人に必要な居場所が見えてきます。
しかも、家族はいつも同じ気分ではありません。話したい日もあれば、一人で静かに過ごしたい日もある。日の当たる場所が気持ちいい時もあれば、少し暗い場所で落ち着きたい時もあります。
だから、家の中をすべて「明るく、広く、ひとつにつなげる」必要はありません。日の当たる窓辺、少し囲まれた場所、雨音を楽しめる軒下、家族の気配を感じながら本を読める場所。「今日はここがいいな」と選べる場所があることも、心地よさのひとつです。
そして、家を考えるのは晴れた昼間だけではありません。雨の日も、曇りの日も、朝も夜もあります。
その時、自分はどこにいたいのか。そこまで想像すると、窓も庭も家具も単体ではなく、暮らしの中でひと続きにつながってきます。
オーパススタイルでは、そのつながりまで含めて設計だと考えています。
「時間を忘れた場所」から、自分の心地よさを探す

では、自分にとって心地いい場所が分からない時は、どうすればいいのでしょうか。
そんな時は、「時間を忘れた場所」を思い出してみてください。思ったより長くいた場所。立ち去るのが惜しかった場所。「もう少しここにいたい」と思った場所。
家でなくても構いません。旅館でも、昔の家の縁側でも、喫茶店の奥でもいいんです。オーパススタイルでは、こうした時間を忘れて過ごせる場所を「時止め」と呼んでいます。
流行のデザインや新しい設備には、いずれ慣れていきます。
でも、美しい光を見ていいなと思うこと。好きな手触りや踏み心地を感じること。自分にとってちょうどいい距離や広さ。そういう感覚には、簡単に賞味期限が来ません。
「自分は、どんな場所で時間を忘れたことがあるだろう」。
そこから考えてみると、自分にとっての心地よさが少しずつ見えてきます。
心地よさは、余った予算で最後につくるものではない

ここが、今回いちばん大切なところです。
心地よさは、間取りや設備をすべて決めたあと、余った予算でつくるものではありません。深い軒、庭とつながる窓、窓辺のベンチ、造作家具、光を整える照明。「なくても生活できますか?」と聞かれれば、なくても生活できるかもしれません。
収納や設備は、必要性が分かりやすいものです。一方で、軒や窓辺のベンチ、庭とのつながりなどは、「なくても生活できる」と考えると、予算調整の中で後回しになりやすい。そうして削っていくうちに、せっかく考えていた心地よさまで、家づくりから抜け落ちてしまいます。
だからオーパススタイルでは、心地よさを家づくりの入口から考えます。広さや収納、設備を決めたあとに居場所を足すのではなく、「この家でどんな時間を過ごしたいのか」を最初から考える。そうすることで、庭も窓も家具も、そこで過ごす時間も、ひとつの暮らしとしてつながっていきます。
心地よい家づくり|まとめ
・光や音、素材、陰影など、五感で感じる心地よさを重ねる
・「どんな家がほしいか」だけでなく、「そこで何をしたいか」まで考える
・その日の気分で選べる、違う性格の居場所をつくる
・晴れた昼だけでなく、雨の日や朝、夜の過ごし方も想像する
・「時間を忘れた場所」を、自分の心地よさを探すヒントにする
・心地よさを最後に足すのではなく、家づくりの入口から考える
心地よい家は、性能だけでも、便利さだけでもつくれません。まず性能によって、暮らしの不快をできるだけ減らす。その上で、自分がどんな時間を過ごしたいのかを考え、光や音、素材、人との距離、居場所まで設計していくことが大切です。
オーパススタイルでは、家そのものだけではなく、その家で過ごす時間まで考えることを大切にしています。



