
家づくりで「わかったつもり」に気をつけたい理由
今回は、家づくりの可能性を狭めてしまう「わかったつもり」と、3つの思い込み=3つの壁についてお伝えします。
YouTubeやSNS、AIなどで情報を集めやすくなった今、家づくりの知識を身につけることは大切です。ただ、知識が増えたことで、新しい提案を受け入れにくくなることもあります。
オーパススタイルでは、最初に持っていた希望や知識を大切にしながら、実際の家を体験し、考え方をアップデートしていくことが、納得できる家づくりにつながると考えています。
この考え方に通じるのが、養老孟司先生の著書『バカの壁』です。
「自分はもうわかっている」と思った途端に、新しいことを学ぶ入り口が閉じてしまう。そんな「バカの壁」は、家づくりにも当てはまります。
ここでは、家づくりで気をつけたい3つの壁と、その向き合い方を紹介します。
3つの壁① 「調べたから、もうわかっている」

家づくりの情報を調べることと、自分たちの暮らしに合うかどうかを理解することは、少し違います。
例えば、無垢の床。
木の特徴やメリットを調べれば、どんな素材なのかはある程度わかります。しかし、実際に触れたときの感触や、年月を重ねた床の表情までは、情報だけではなかなか伝わりません。
10年使われた無垢の床は、どんな風合いになっているのか。傷や手入れも含めて、自分たちの暮らしに合うのか。
そこまで知って初めて、無垢材を選ぶ意味が見えてきます。
知識を持つことが悪いわけではありません。むしろ、調べたことをきっかけに、さらに深く知ることができます。
「無垢材がいい」と知っているだけで終わるのは、もったいない。何がどういいのか、自分たちにとってどんな価値があるのか。知識を次の発見につなげることで、家づくりの選択肢は広がっていきます。
3つの壁②「自分らしさ」にとらわれてしまう

家づくりでは、自分たちの好みや理想を大切にしたいものです。ただ、今の好みだけで、これからの暮らしを決めてしまうのは少しもったいないことです。
例えば、「大きな吹き抜けが欲しい」という希望。
その理由をもう少し考えてみると、明るい家にしたいのか、開放感が欲しいのか、それとも家族の気配を感じながら暮らしたいのか。
同じ「吹き抜けが欲しい」でも、その奥にある希望は人によって違います。
目的がわかれば、吹き抜け以外の設計も考えられます。大切なのは、希望を実現する手段だけでなく、なぜそうしたいのかを共有することです。
さらに考えておきたいのが、人の好みや価値観は変わっていくということ。
今は大切にしていることも、新しい経験を重ねれば変わるかもしれません。10年後、20年後も、今とまったく同じ考え方とは限らないのです。
昨日までの自分と違ったっていい。「自分らしい家」をつくるなら、今の自分だけではなく、これから変わっていく自分も含めて考えておきたいところです。
3つの壁③ 「どこかに唯一の正解がある」
家づくりには、広さ、収納量、性能、価格など、比較できるものがたくさんあります。
ただ、どれか一つの基準だけで、家全体の良し悪しが決まるわけではありません。
例えば、次のような考え方です。
・家は広いほどいい
・収納は多いほどいい
・自然素材なら何でもいい
・価格は安いほどいい
それぞれに良さはあります。
しかし、収納を増やしたことで、窓やくつろげる場所が減ってしまうかもしれません。
また、価格の安さだけを追いかけると、設計にかける手間や施工の丁寧さ、将来の維持管理への配慮まで比較することが難しくなります。もちろん、高ければいいという話でもありません。
住宅の価格には、材料だけでなく、設計や施工の手間、技術、これまで積み重ねてきた経験なども含まれています。
何に費用がかかっていて、自分たちはそこに価値を感じるのか。価格を見るときには、そうした部分も含めて考える必要があります。
オーパススタイルでは、断熱や耐震などの性能をしっかり確認したうえで、素材や設計、費用をどう組み合わせれば、自分たちの暮らしに合う家になるのかを考えています。
広さも収納も、素材も価格も、家づくりを考えるための大切な要素です。その一つだけに答えを求めるのではなく、全体のバランスを見ながら判断することが重要です。
「わかったつもり」を越えるには、実際の家を体験する

こうした「3つの壁」で大切なのは、自分の知らない世界があることを前提に、新しい経験や考え方に触れていくことです。
そのためにも、オーパススタイルの家づくりでは実際の建物を体験する機会を大切にしたいと考えています。
見学会では、ただ間取りや設備を見るだけでなく、実際に座ったり、歩いたり、床に触れたり、窓の外を眺めたりしてみてください。
頭で理解していたことを、自分の五感で確かめてみる。そこで感じた心地よさや、想像と違ったことにも、家づくりのヒントが隠れています。
さらに、見学会の帰り道に、ご夫婦で「今日、予想と違ったことは何?」と一つ話してみるのもおすすめです。なぜ、その場所が心地よかったのか。なぜ、思っていた印象と違ったのか。
体験したことを言葉にし、理由を考えてみると、自分が何を求めているのかが少しずつ整理されていきます。
最初は必要だと思っていたものが、実はいらないと感じることもあるでしょう。逆に、考えてもいなかったものに魅力を感じるかもしれません。
その変化も、家づくりの大切な一歩です。
最初の希望をすべて変える必要はありません。残したいものは残し、違うと感じたところは見直していく。
希望をどう実現するかという手段を考える前に、そもそも、なぜそれを望むのか。その目的に目を向けることで、これまで思いつかなかった選択肢が見えてきます。
家づくりの「わかったつもり」を手放す|まとめ
・今の自分らしさにとらわれない:希望の理由を考え、これからの変化も受け入れる
・一つの正解にこだわらない:広さや性能、価格などを家全体のバランスで考える
家づくりは、一生の中でも大きなプロジェクトです。
オーパススタイルでは、体験や対話を重ねながら考え方をアップデートし、自分たちに合った住まいを見つけていく過程も大切にしています。
まだ知らない心地よさに出会うために、「わかったつもり」を少し手放してみる。 そこから、家づくりの新しい可能性が広がっていきます。




