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湿気を吸って、放すセルロースファイバー【吸放湿編】|Voicy #356

自然素材の高性能断熱材 セルロースファイバー施工風景

セルロースファイバーの“吸放湿”とはどういうこと?

今回は、断熱材セルロースファイバーの吸放湿についてです。
「セルロースファイバーって調湿するの?」とよく聞かれます。ただ、この“調湿”を、機械のように湿度を一定に保つイメージで受け取ると、実際とは少し違ってくるんです。
今回は、その理由と、セルロースファイバーが本当に果たしている“吸放湿”という役割を、わかりやすくお伝えしていきます。

 

そもそも湿気は“コントロール”できる?水蒸気の正体

やかんから出る白いモヤモヤは水蒸気ではなく、目に見えている時点で、それは冷えて液体に戻った小さな水の粒(ミスト)という図解

「調湿」という言葉には、「湿気をコントロールする」というニュアンスがあります。でも水蒸気の正体を知ると、そう簡単な話ではないことが見えてきます。
まず大前提から。やかんから出る白いモヤモヤ、あれは水蒸気ではありません。目に見えている時点で、それは冷えて液体に戻った小さな水の粒(ミスト)です。
どれくらい小さいかというと、たとえば水の分子がテニスボールだとして、そのテニスボールと地球くらいの差がある。それほど、想像を絶する小ささです。
これを人の手で一個ずつ止めて支配するのは、さすがに無理な話。だから「湿気を完全にコントロールする」という意味で語ると、少し言い過ぎになってしまいます。

 

家の中で水分はどう動く?結露リスクを抑える湿気の“交通整理”

室内の湿度を大きく左右するのは、換気・冷暖房・除湿・加湿、そして暮らしの中で発生する水分というイメージ画像

では、打つ手がないのかというと、そんなことはありません。水分そのものは止められなくても、「どこをどれくらい通るか」「どこで乾くか」は設計できます。私たちがやっているのは、いわば湿気の交通整理です。

家の中の水分の動きは、大きく4つに分けられます。
・雨のような、目に見える液体の水(屋根・外壁・窓まわりから)
・地面から上がってくる水分(床下や基礎まわり)
・空気中に含まれる水蒸気。室内の“湿度”として表れる、影響の大きいもの
・材料の中を、じわじわ動いていく水蒸気

このなかで見落とされがちなのが、すき間を通って出入りする空気に運ばれる水蒸気です。
だから対策はシンプル。雨を入れない、空気の漏れを止める、しっかり断熱して冷たい面をつくらない、入った湿気が乾けるようにする。ここがそろうと、湿気に強い家に近づいていきます。

 

セルロースファイバーの“吸放湿”が家にしてくれること

セルロースファイバーの湿気を吸ったり放したりする「吸放湿」のイメージ画像

ここでセルロースファイバーの出番です。この素材は、湿気を吸ったり放したりする「吸放湿」という力を持っています。うれしい働きは、大きく3つ。

セルロースファイバーの働き どんなふうに役立つ?
湿度の急な変化をやわらげる 料理・入浴・室内干しで出る湿気の“上がり下がり”の波を、なだらかにしてくれる
体感の“角”を取る 夏のムワッと、冬のカラカラをやわらげ、心地よさから外れにくくする
壁の中の湿気のピークをやわらげる 入り込んだ水蒸気の一部を受け止め、結露しにくい状態に近づける

ただし「結露がゼロになる魔法」ではありません。私たちも、きちんと計算や検証をしたうえで採用しています。

 

“調湿機械”ではなく、断熱材としての名脇役

大事なのは、セルロースファイバーは加湿器や除湿機の代わりではない、ということ。室内の湿度を大きく左右するのは、換気・冷暖房・除湿・加湿、そして暮らしの中で発生する水分です。セルロースファイバーは、その湿度変化をやわらげるように働く、いわば名脇役です。

イメージとしては、水蒸気と“やさしく握手する”感じ。手が湿ってきたら、そっと離す。飲み込んだり閉じ込めたりするのではなく、状況に応じてやり取りしている。そんな素材なんです。

ときどき“セルロースに水を吸わせたらどうなる?”という話を見かけますが、それはまた別次元の話です。液体の水をスポンジのように吸わせるのと、空気中の水蒸気をそっとやり取りするのとでは、まったく違います。カタログに「最大200リットル」といった吸湿量が載ることもありますが、それは“それだけの力がある”という可能性の目安。 たくさん吸わせること自体が目的ではありません。

 

セルロースファイバーは、ただの“粉々にした新聞紙”ではない

セルロースファイバーは、新聞紙を細かい木質繊維に戻した断熱材

セルロースファイバーは新聞紙を粉々にしただけ、と思われがちですが、少し違います。正しくは、新聞紙を細かい木質繊維に戻した断熱材です。
ふわふわにほぐすことで、繊維一本一本が空気に触れ、表面積が一気に増えます。この形にすることで、新聞紙がもともと持っている吸放湿の力を、壁の中で使いやすく広げているわけです。

濡れた靴に新聞紙を入れて乾かした経験、ありますよね。梅雨どきは新聞紙がしんなりして、乾くとパリッと戻る。あれもまさに吸放湿です。
そのすごい新聞紙を、さらにふわふわにした木質繊維の断熱材。そう考えると、断熱の“おまけ”にこの性能がついてくるのは、なかなか魅力的に感じませんか。

 

断熱材セルロースファイバーの吸放湿 まとめ

◾️セルロースファイバーの働きは、湿度を機械のように一定に保つ「調湿」ではなく、湿気を吸ったり放したりして変化をやわらげる「吸放湿」
◾️目に見える白い湯気は水蒸気ではなく、冷えて液体に戻った小さな水の粒。本来の水蒸気は目に見えない。
◾️液体の水を吸わせる話と、空気中の水蒸気をやり取りする話は別のもの。吸放湿は後者の、湿度変化をやわらげる働きをする。
◾️セルロースファイバーは加湿器や除湿機の代わりではない。換気・冷暖房・除湿・加湿を支える、頼もしい名脇役。

セルロースファイバーは、湿度を機械のようにつくり出す素材ではありません。でも、暮らしの快適さがふっと崩れそうになったとき、その変化をそっと受け止めてくれる、頼もしい存在です。私たちオーパススタイルの家づくりでも、この素材の力を大切にしています。“吸放湿”という考え方を知っておくと、家づくりの選択肢が、ぐっと見えやすくなるはずです。

Author Profile

渡邉 尚哉
渡邉 尚哉
オーパススタイル株式会社

2006年入社から家づくり一筋。資産活用の視点と注文住宅営業で300件以上の経験を活かし、不安や迷いに寄り添う“家づくりのパートナー”。性能や素材を総合的に考え、「どんな暮らしをしたいか」を一緒に描き、最適な提案を行う。VoicyやYouTubeでも発信中。

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