
今回は、「間取り」と「空間の設計」の話です。
十数年前、オーパス渡邉も間取りをつくっていました。でも、そこに強制ストップがかかりました。
間取りはつくれる。ただ、それと空間を設計することは、僕らの中では違います。
間取りから考えると、「LDKは20帖」「ファミクロは何帖」「パントリーは何帖」と、必要な部屋や広さを聞いて、平面の中にどう入れるかを考えていく。僕らが“パズル”と呼んでいるのは、こういう考え方です。
もちろん、これが悪いわけではありません。
お客様が予算や帖数、欲しい部屋を一生懸命考えるのも当然です。何が正しいか分からない家づくりの中で、主導権を失わないための「安全装置」でもあるからです。

ただ、ここから始まって、ここで終わったらいけない。
「20帖欲しいです」に「分かりました」で終わるのではなく、20帖で何をしたいのか。そこで、どんな感覚を得たいのかまで考える。
食卓から何が見えてほしいか。一人になりたい時はどこへ行くのか。朝と夜、どこで長く過ごすのか。
面積は目的ではなく、あくまで手段です。
空間を設計するなら、平面だけではありません。断面、外観、庭、光、視線、構造、温熱まで、家全体を考えていく。
だから見てほしいのは、図面の上手い下手より、何から考え始めたのか。何を同時に考えているのか。何を後回しにしたのか。そこなんです。
土地も決まっていない。見にも行っていないのに、プランが出てくる。これも僕らの考え方からすると、謎なんですよね。
予算も土地も、家の大きさも有限です。欲しいものを全部載せていけば、家はどんどん大きくなる。
だから、何を残して何を手放すか。家全体のために取捨選択する必要があります。
家事動線をよくする。収納を増やす。今の家の不満を解消する。それも大事です。
でも、それだけで設計すると、新しい家が「困らない家」で終わってしまう。

好きな場所がある。家族が自然に集まる。雨の日にも過ごしたくなる。朝一番に光を感じる。
僕らは、そんな心地よさまでつくっていきたい。
本当はお客様に渡さなくちゃいけないのは、プランだけではなく、家を見る「物差し」なんです。
僕らが正しいと強く言うのではなく、違いを自分で見つけられる“望遠鏡”のようなものを渡せるようにしたいと思っています。
Voicyでは、今回の間取りと空間の設計について話しています。気になる方は、ぜひ音声でも聞いてみてください。

2006年入社から家づくり一筋。資産活用の視点と注文住宅営業で300件以上の経験を活かし、不安や迷いに寄り添う“家づくりのパートナー”。性能や素材を総合的に考え、「どんな暮らしをしたいか」を一緒に描き、最適な提案を行う。VoicyやYouTubeでも発信中。