
家づくりを検討していると、「断熱材」という言葉がよく出てきますよね。
でも、使用されている断熱材がどんな素材で、なぜその素材を工務店が採用しているのか、知らない方は多いです。
今回は、オーパススタイルが採用している外断熱 EPS(ビーズ法ポリスチレンフォーム)についてご説明。製造工場に実際に足を運んだ体験をもとに、EPSの特徴や、なぜ外断熱材として選んだのかをお伝えします。

EPS(Expanded Polystyrene Foam)は、日本語で言うと「ビーズ法ポリスチレンフォーム」。
わかりやすくお伝えすると、発泡スチロールです。
魚や野菜を入れるあの白い箱、引っ越しの梱包材、お弁当のトレイ。そういったものと同じ系統の素材が、実は家の外断熱として使われているんです。
ドイツで生まれ、1950年代から本格的に量産が始まった断熱材で、70年以上の実績があります。ヨーロッパではもともと石積みの家づくりが主流でしたが、石は重くて結露もひどい。その課題を解決する素材として注目されたのがEPSで、今でも欧州を中心に広く普及しています。
工場では製造の様子をじっくり見学してきたのですが、最初はとても小さな樹脂のビーズ(塩の粒みたいな細かさです)から、予備発泡させて、さらに加熱・成形していく。最終的にあの白いボード状になるわけです。
成分の98%は空気です。細かいビーズの中に閉じ込められた無数の空気の層が、熱の移動をゆっくりにしてくれる。それが断熱の仕組みです。
膨らませる倍率(発泡倍率)を変えることで、用途に合わせた硬さや性能に調整できるのも特徴で、オーパススタイルの外断熱には約60倍、エアウォールには約50倍と、使う場所に応じて少しずつ変えています。

EPSとよく似たXPS(押し出し法ポリスチレンフォーム)というものもあります。代表的な商品で言うと、スタイロフォームが有名です。
原材料はほぼ同じで、製造過程がちょっと違うだけ。XPSの方が粒子が細かくて硬めで、価格はやや高め。EPSの方が軽くて加工しやすく、コストを抑えられます。
オーパススタイルでは、外断熱にEPS、床下の一部にXPSを使い分けています。

もともとオーパススタイルがEPSに出会ったきっかけは、断熱性能を追い求めていたというよりも、塗り壁の下地材としてひび割れにくい素材を探していたことがはじまりです。
EPSの上に塗り壁を施工するとひびが入りにくい、という発見がスタートでした。
そこから外断熱材としても使ってみると、これがまた優れた素材で。 断熱・耐久・環境・コストと、あらゆる面でいいところが出てきました。 大きく分けると、6つのポイントがあります。
EPSの成分の98%は空気です。
細かいビーズの中に閉じ込められた無数の空気の層が、熱の移動をゆっくりにしてくれる。それが断熱の仕組みです。
だからとても軽い。 EPSを芯材に使ったエクステリアの塀「エアウォール」という名前も、この98%空気という特性からきています。
軽いということは、建物への負担が少ないということでもあるので、長く使い続けることを考えたときに有利な特性です。
他の断熱材、たとえばウレタン系のものは、断熱性能を高めるために内部にガスが入っています。でも、そのガスは時間が経つと少しずつ抜けていきます。
EPSは98%が空気でできているため、断熱性能が長期的に安定しやすいというのがひとつの特徴です。
南極の昭和基地で40年以上使われ続けたEPSが、ほとんど劣化していなかったという報告があります。それだけ変化しにくい素材だということが、現場でも実感として語られていました。
発泡スチロールと聞くと「柔らかくてすぐ壊れそう」というイメージがあるかもしれません。
でも実際には、衝撃を吸収してうまくいなしてくれる強さがあります。
事務所のリフォームの際にEPSをハンマーで解体しようとしたことがあるのですが、全然壊れなくて苦労したくらいです。
さらにメッシュを組み合わせて施工することで、壁としての強度も確保しています。
EPSは炭素と水素だけでできた素材なので、燃えても有害なガスが発生しません。
塩素を含まないため、ダイオキシンも出ない。黒い煙が出ることがありますが、あれは不完全燃焼によるもので、有毒成分を含むものではないです。
製造過程でフロンガスも使いません。CO2排出量も他の断熱材と比べると少なめ。地球環境への負荷を抑えた、かなりクリーンな素材だと言えます。
外断熱に使う以上、水や湿気への強さは外せない条件。
EPSはビーズ法なので厳密には微細な隙間がありますが、水蒸気は通しながら、一定の圧力がかからない限り水の貫通は防げます。壁の中で結露を起こしにくく、長期的に構造を守るうえでも重要な特性です。
外断熱材の中では、比較的コストを抑えられる素材でもあります。
外断熱という工法の中で選ぶなら、EPSはバランスのとれた選択肢と言えます。
ここでもう一つ大きなメリットについて、少し専門的な話をすると、EPSで外断熱(付加断熱)をすることには、「ヒートブリッジ(熱橋)」を防ぐ効果もあります。
ヒートブリッジとは、柱など構造材が外気とつながることで熱が伝わってしまう現象のこと。
内断熱だけだと、どうしてもこの部分が弱点になります。EPSで家全体をすっぽりと包む外断熱を施すことで、ヒートブリッジが起きにくくなる。これが「カタログスペック以上に暖かい・涼しい」という体感につながっていたりします。
ダブル断熱(内断熱+外断熱)にしているのは、性能のためはもちろん、こうした構造的な弱点を補うためでもあるんです。

EPSのいい話ばかりだと少し不安になりますよね。ここでデメリットについてもお伝えします。
EPSのデメリットとして挙げられるのは、高温に弱いという点。80度を超えると、形状に変化が出てきます。ただ、家の外壁に施工した場合、EPSはそのまま外気に露出するわけではなく、塗り壁でコーティングした内側に収まります。直接太陽光や高温の熱線にさらされるわけではないので、実際の使用条件では問題が出るような状況はまず想定しにくいです。
EPSが外断熱に選ばれる理由 まとめ
発泡スチロールと聞くと、なんとなく「簡素な素材」というイメージを持つ方もいるかもしれません。でも実際には、70年以上の歴史と実績を持つ、本物の建材です。
軽くて、強くて、長持ちして、環境にもやさしい。外断熱材として、これだけの条件がそろっている素材はなかなかありません。
素材のことを少し知っておくと、家づくりの見方が変わることがあります。どんな素材で、どんな理由で選んでいるのか。そこまで話せる会社と、家づくりを進めてほしいと思います。
また、オーパススタイルでは外断熱にEPS、内断熱にセルロースファイバーを組み合わせた「ダブル断熱」を採用しています。
それぞれについて、くわしく解説したコンテンツをご用意しています。 EPSとあわせて知ることで、より強く、より快適な家づくりのイメージが広がるはずです。ぜひあわせてご覧ください。
▼ セルロースファイバーについて
▼ ダブル断熱について

2006年入社から家づくり一筋。資産活用の視点と注文住宅営業で300件以上の経験を活かし、不安や迷いに寄り添う“家づくりのパートナー”。性能や素材を総合的に考え、「どんな暮らしをしたいか」を一緒に描き、最適な提案を行う。VoicyやYouTubeでも発信中。