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緑の柱とは、家の大敵であるシロアリや腐れから構造躯体を半永久的に守るため特殊な処理を施した木材のことです。
この柱は、株式会社コシイプレザービング(以下、コシイプレザービング)が製造しています。コシイプレザービングは、シロアリ対策の薬剤開発や木材の保存技術に特化した会社で、その豊富な経験と知識を基に開発されたのが、緑の柱です。
そして、シロアリ対策、腐らない木「緑の柱」、錆びにくい金物「デュラルコート」これらが揃って、「ハウスガードシステム」と言います。
緑の柱は、無垢材の中でも「天然乾燥」された国産杉材を基本使用しています。国産杉材が選ばれる理由は、日本の気候に適応していることと、害虫やシロアリに対する耐性が高いからです。杉材には「タンニン」という成分が含まれており、これが天然のシロアリ防蟻剤の役割を果たします。
また、天然乾燥された無垢材というところもポイントです。無垢材は通常「強制乾燥」をさせています。強制乾燥とは、120度程度の高温で一気に水分を抜き乾燥させること。しかし、高温で乾燥させると木材の繊維が傷み、シロアリにも襲われやすくなるというデータがあります。
緑の柱はどうでしょうか?緑の柱は、天然乾燥された無垢材の分類になります。出荷前に軽く中温乾燥を行い、表面のみ乾燥させた状態で現場に納入されます。
まとめると、緑の柱は…
・天然乾燥させた国産杉材を使用
・天然乾燥のため、強制乾燥させた無垢材より強度が高い
・通常の天然乾燥した無垢材より価格が抑えられる
良いとこどりの高品質な木材なのです。
緑の柱のもう一つの特徴は、シロアリや腐れに強い「マイトレックACQ」という木材保存剤が加圧注入されていることです。この保存剤には「塩化ベンザルコニウム」と「銅」が含まれており、これらの成分がシロアリや腐れの原因となる腐朽菌から木材をしっかりと守ってくれます。
マイトレックACQの成分 塩化ベンザルコニウムは、医療用の消毒剤や目薬などにも使用されている成分で、殺菌効果が高く、安全性が認められています。
もう一つの主成分である「銅」は、酸化することで「緑青(りょくしょう)」と呼ばれるサビの一種を生成し、非常に強い防腐・防蟻効果を発揮します。これにより、木材をしっかりと守ってくれます。「緑の柱」の独特な緑色も、この緑青によるものです。
そして緑の柱は、上記の写真のように加圧注入という方法で木材に薬剤を直接注入。これは木材を真空状態にしてからゆっくり圧力をかけて薬剤を内部にしっかりと浸透させるため、水に濡れても溶け出すことがなく、効果が長期間持続します。通常の表面に塗布するだけの防蟻処理とは異なり、内部まで薬剤が行き渡るので、半永久的にその効果を発揮し続けることが可能です。
下記の写真は、左が薬剤の塗布処理・右が加圧注入処理をした浸透の違いです。浸透の違いがそのまま効果の差に繋がります。
オーパススタイルが緑の柱を採用した理由。それは、家の耐久性と断熱性を向上させるためです。家を建てる際には、どの素材を使うかが非常に重要で、柱一つとっても、木を接着剤で貼り合わせた集成材や無垢材など、さまざまな選択肢があります。その中でオーパススタイルが緑の柱を選んだのは、同社が採用している自然素材の最強断熱材「セルロースファイバー」との相性が非常に良いためです。
セルロースファイバーも耐久性が高く、半永久的に使用できる自然素材の断熱材です。せっかく高耐久な断熱材を使うのであれば、柱も同様に耐久性が高くなければ意味がありません。そのため、家全体の耐久性を高めるために、緑の柱を選びました。
緑の柱は、木造住宅の構造的な弱点をほぼ克服できる柱です。この柱を採用するにあたって、コシイプレザービングとの協議を重ね、自社の施工ルールを変更する必要があり、実際に採用するまでの道のりは決して簡単なものではありませんでした。でもその結果、いつまでも劣化しない耐久性の高い家づくりを実現することができました。
ここではなぜ緑の柱を使うことで、いつまでも耐久性の高い家を建てることができるのか、その理由を4つご説明します。
まず、家が劣化する主な原因は以下の2つです。
・腐れ
・シロアリ
これらは、普段の生活では見えないところで進行しているため、気がついた時には大きな問題になっていることが多いです。
特に地震が発生すると、シロアリや腐れによる被害を受けている住宅では倒壊のリスクが高まります。そのため、家を建てる際には腐れやシロアリから家を守る劣化対策が非常に重要です。
緑の柱を使用すると、新築時の耐震耐水力を半永久的に保ち続ける家を実現できます。
この4つの条件のうち、栄養源を断つようにするべく「マイトレックACQ」という木材保存剤が注入。これで腐朽菌の活動を防ぎ、木材が腐ることなく長期間にわたって耐久性を保つことができます。
下記はヤマトシロアリとイエシロアリの比較表です。
種類 | 性格 | 生息エリア | 巣の特徴 |
ヤマトシロアリ | 臆病でおとなしい | 北海道を除く日本全域 | コロニー(巣)は3〜5万程度 放牧型 |
イエシロアリ | 攻撃的で破壊力がある | 神奈川以西の温暖な地域 | コロニー(巣)は100万以上 土の中に巣を作り、蟻道を最大100m程度伸ばし移動する |
ヤマトシロアリは比較的おとなしく、日本全域にいる一方で、イエシロアリは高温多湿を好み、温暖な地域に生息しています。オーパススタイルの施工エリア(愛知県・岐阜県)にもイエシロアリが生息しているため、対策が必要だと考えています。
※上記写真 左からシロアリのいる環境下で半年間放置した緑の柱/半年間放置した無処理材/放置する前の無処理材
緑の柱の強みはこの「シロアリ被害を防ぐ」ことです。
まずは上記の写真をご覧ください。家をつくる木材を使用したシロアリ実験です。
です。たった半年でもシロアリの好む環境が整えば、真ん中の木材のように被害に遭ってしまうことがお分かりいただけます。
木造住宅にとってシロアリによる被害は大きな問題ですが、緑の柱は防蟻剤「マイトレックACQ」を加圧注入することで木材内部までがしっかりと浸透。水害などで水に濡れても薬剤が溶け出すことはなく、半永久的に効果が持続し、家を守ることができます。
シロアリ対策で重要なのは「家にシロアリを入れないこと」です。緑の柱は、配管周りにも防蟻処理を施し、もし侵入しても薬剤の効果でシロアリを駆除するという二重の対策がされています。このため、緑の柱を使用することで、家全体の耐久性が向上し、シロアリからしっかりと家を守ることができるのです。
3つ目の強みは「特殊な金物『デュラルコート』の使用」です。木材同士を接合する金物も非常に重要です。緑の柱と組み合わせて使われる金物デュラルコートには、特殊コーティングが施されており金物の錆びや劣化を防ぎ、木材との接合部が長期間強く維持されます。これにより、家全体の強度が保たれ、耐久性が向上。
金物の劣化は、木造住宅の耐久性に影響を与える大きな要因の一つです。いくら木材が強くても、接合部が劣化してしまえば家全体の構造強度が失われます。そのため、金物にも対策を施すことで、家全体の耐久性を向上させます。
緑の柱の最後の強みは「調湿効果」による快適な住環境の実現です。湿気の多い日本の気候において、湿度をコントロールすることは非常に重要です。湿度が高すぎるとカビが発生したり、建材が劣化するリスクがあります。天然杉材を使用した緑の柱は湿気を吸収したり放出したりすることで、室内の湿度を適切に保ちます。また、オーパススタイルの家では、断熱材に「セルロースファイバー」を使用し、内装には塗り壁「インナーコート」を採用。これらの自然素材により、家全体で湿度の調整が行われ、年間を通して快適な住環境を実現します。
緑の柱は、公共土木事業や一般住宅などで幅広く使用されています。例えば、三重県ナガシマスパーランドで20年以上愛された木製ジェットコースター「ホワイトサイクロン」でも使われており、海風や雨、紫外線にさらされても問題ありませんでした。また、ダムなど水にさらされる環境や公園の柵やウッドデッキでも緑の柱は採用され、その耐久性が実証されています。
もちろん、ハウスガードシステムを採用した住宅も年々増加。今では、17,800棟以上の実績があります。(2023年まで)そして、ハウスガードシステム(緑の柱)を使用した住宅では、これまで腐れやシロアリ被害は0件となっています。
緑の柱にはデメリットもあります。それは「基礎断熱ができない」ことです。基礎断熱とは建物の基礎部分を断熱材で覆う工法のことですが、緑の柱の場合は床下断熱までが限界となります。
その理由は、基礎断熱を採用すると、シロアリの蟻道が基礎の下に隠れてしまい、発見が遅れるリスクがあるからです。そのため、緑の柱を使用する際には床下断熱が一般とされています。これにより、シロアリ対策をしながら、家全体の断熱性も確保します。