今回は、庭とデッキのある暮らしについてご紹介します。
庭は、ただ外にある空間ではなく、室内の居心地を広げてくれる存在です。
デッキを介して庭とつながることで、家の中にいながら外の気配を感じられる場所になります。
今回、特に印象的だったのは夕方の光です。西日は強い光として敬遠されることもありますが、
植栽や軒を通してやわらかく届くことで、床や壁に美しい影を落としてくれます。
時間とともに影の形が変わり、同じ場所でも少しずつ違う表情を見せてくれる。
その光を受け止める焼き杉の外壁も、この住まいの魅力のひとつです。
黒く落ち着いた質感が庭の緑を引き立て、光が当たる部分と影になる部分のコントラストが、建物に深みを与えてくれます。
そして、その景色の中に置いたのが、吉村順三の「たためる椅子」です。
必要な時に出して、使わない時は畳める。
とてもシンプルな考え方ですが、佇まいが美しく、デッキに一脚あるだけで空間の見え方が変わります。
ただ庭を眺めるだけではなく、そこに座る場所があることで、デッキは“通る場所”から“過ごす場所”になります。
どんな家具を選び、どこに置くか。
それだけで空間の魅力も、居心地の良さも大きく変わります。
建物、庭、素材、光と影、そして家具。
それぞれが自然につながることで、何気ない夕方の時間が、暮らしの中の豊かな景色になっていきます。

