こんばんは。オーパススタイルの伊藤です。
我々が日々鍛錬し続けていることの一つに「相対的空間認識力」があります。
これは設計をする上で重要な要素ですが、対比での物の見方や、
その空間に最もふさわしいバランスのような感覚を意味します。
われわれ人類はそもそも見た目で高いとか低いを認識できないということをご存知ですか?
わからないのです・・・・。思った以上にわからないようです。
例えば
180cmの扉だけあっても高いか低いかは判断できません。
でも
扉の前に175cmの人がいるとその180cmの扉が高いか低いか判断できるのです。
よく言われるのが天井高の話。270cmが高いくていい・・・
いやいやもっと290cm欲しい・・・?
225cmや210cmの天井高は低くて窮屈だ・・・などなど。
これもその空間に対して、たとえば横幅や奥行きに対して高さはどれくらいが
美しく感じるかということになります。
通常の家のスケール感ですと実は210cmや225cmがしっくりくることが多いです。
見た目も間延びせず、美しく心地よさが醸し出されます。
ですが・・・
「高い方が開放的で良い」という考え方が圧倒的に世の中にはびこっていますので
210cmの天井なんてとんでもない・・・けしからん!となります。
真逆の話で
先日訪れた兵庫の『無量寿寺』は巨大なスケールの建物が並んでいます。
とにかく全部デカい!!!笑
この写真
一見普通の美しいお寺の建物に見えるかもしれませんが
写真の真ん中に人が小さく写っています。
この対比で、この建物の巨大さが分かると思います。
こんな巨大な建物で210cmは低すぎます・・・ね。鬼瓦で900cm以上あるそうです・・・笑
手前のタイルは1枚、畳1畳分だそうです。タイルも巨大。笑
どんなに大きくてもどんなに小さくても「相対的空間認識力」が養われていれば
建物の美しいプロポーションを保つことは可能です。
われわれは、数字だけに捉われる事無くバランスの取れた設計を日々心がけ精進しております。