こんばんは。オーパススタイルの伊藤です。
なんかかっこいいですよね。「陰翳礼讃」って表現。
ちょっと言いたいだけ・・・ってのもあるんですが
さて今回は、先日京都に行ってきた件も踏まえ、
「光と陰の表現」についてお話ししたいと思います。
今回の京都研修の、数あるお題の一つが建築の認識力を強化する目的での
「陰影を学ぶ」というものでした。
日本の建築ははるか昔から「陰の世界」を主体としてきました。
我々のバイブルに、谷崎潤一郎の随筆「陰翳礼讃」があります。
光と陰がつくる世界を目で見て学ぶにはとても良い本です。
建築関係で読んだことない・・・なんて人はいないはずですが・・・
その本の中にもありますが、我々日本人は暗がりの中で暮らしを営み、
わずかに差し込む太陽の光や室内の行灯などの淡い「光」によって生み出される
仄かな暗さや、陰影の美しさを楽しんできました。
仄か(ほのか)って表現がいいですね。
ただ、明るい。ただ暗い。ということだけではなく、私も自然光と素材のつくる
仄暗い陰影がいかに美しいかということを、京都の建物でたくさん見ることができました。
特に見てきた町屋は、中庭(坪庭)が大小二つあり、それぞれの光の入り方が異なって
とても豊かな、陰影の世界がそれぞれのお部屋につながっていました。
なんとなく心にグッとくるものがありました。
初めは少し暗いかな・・・
と感じても少しずつ目が慣れてきて、とても落ち着き心地よく感じます。
これを「暗順応」と呼ぶそうですが、これを写真におさめるという修行も同時敢行してました。
この本の言いたいことは、西洋的な部屋を明るく明るくの考え方ではなく
「陰をつくりましょう。その陰を中心とした世界を楽しみましょう」
ということなのですが、今回の研修で少しだけ理解できた気がしました。
気がしただけかもしれませんが・・・
みなさんも是非「光と陰」を意識して建築に触れてみてくださいね。
何か感じるかも。