こんにちは。オーパススタイルの伊藤です。
先日、京都の俵屋旅館に行ってまいりました。
もう度目かになるのですが、どうしてそんなに何度も??笑
と思われる方も見えるともいますが
いやほんと、いいんです!!!素敵なんです。
この俵屋旅館、世の建築家たちを魅了してやまない建築物として業界内では有名なんですが
世界の要人たちにも、日本に来るときは常宿にされるくらいの「宿」なんです。
あのスティーブジョブズが常宿にしていたことでも有名です。いまだにご家族は宿泊されにくるとか。
なぜ?300年もの間、訪れる人を魅了してやまないのか?
その理由をまとめてみたいと思います。
この建物は「古いから」「高級だから」ではなく、空間のつくり方そのものに思想・哲学があるからかと。
ただ古いものを保存するのではなく「更新」の質がえげつなく高い。修繕・改修のたびにより上質な方向へアップデートしていく、劣化するどころか魅力の精度がどんどん増していく建物になっている。
特に建築家の皆さんに刺さってくるのが「機能より気配の設計」。もう全てが狙って、意図的に制御されちゃってます。光の落ち方、目線の抜け・距離・方向、外庭との距離、あえて不均一で美しい・・・などなど。
隠れているので部屋のコンセントやスイッチの場所を探すのもひと苦労なんです。笑
毎回いい意味で「やられたあ〜!」ってなります。
あと忘れてはいけないのがスタッフのホスピタリティー。接客、しつらえ、整頓、清掃など建物の使われ方まで含めて設計されている感じです。建物単体では何も成立しない良い例かと。
これらは一例に過ぎませんが、総じて言えることは俵屋の魅力は「余白」の作り方が絶妙で洗練されていること。
「何を足すか?」ではなく「何を削るか?」です。
現代の家づくりでは、足し算の家づくりになりがちです。ノイズが多く「足し算は劣化の始まり」と言った人もいます。
時間に強く、空間・素材・自然などの本質を際立たせるヒントは「引き算の設計」にありかと。
「何もないのに豊か」そんな家の設計ができるように、これからも日々精進していきます。

俵屋旅館 「寿」