こんにちは!コラゾンデザインの廣瀬です。
この山荘は、吉村順三氏が設計した、長野県の軽井沢にある林間の敷地に建てられました。
建物は地面から少し持ち上げられたピロティ(高床)構造となっており、湿気の多い軽井沢の風土に対応しながら、森の中に軽やかに浮かぶような印象を与えます。
この“浮遊感”は、周囲の自然を壊さずに住まいを成立させる方法として、極めて洗練されています。内部はわずか数十平方メートルと小さな建物ながら、開放的な大きなガラス窓が設けられ、室内から森の景色が一望できます。
素材にも注目すべきです。構造は木造でありながら、細部の納まりは極めて精緻で、鉄骨建築のような理性的な設計思想が感じられます。外壁やデッキには現地で調達した木材を使い、時間とともに風化して周囲の自然と調和することが意図されました。建物が「老いていくほど風景になじむ」ように設計されているのです。この山荘から現代の住宅設計に活かせるポイントは多くあります。
たとえば、
• 敷地の特性を尊重する設計姿勢
• 小さな空間でも広がりを感じさせる工夫
• 素材の経年変化を前提にしたデザイン
いずれも、今日の住宅においても本質的な価値を持つ考え方です。特に自然環境とどう付き合うかが問われる今、「環境と人間の関係を美しく調整する建築」の原点として再び注目されています。